『日本経済を襲う二つの波―サブプライム危機とグローバリゼーションの行方』を読みました [本を読む]
日本経済を襲う二つの波―サブプライム危機とグローバリゼーションの行方
- 作者: リチャード・クー
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2008/07/03
- メディア: ハードカバー
横浜市立図書館で借りました。
遅まきながらという感じですが、やっと借りることができました。
主論はボリュームが多く、他所でも紹介されているかと思いますので、
別の個人的に一番面白いと思ったポイントを。
それは、住宅に関する考え方の違いにより、日本人は豊かになれないという主張です。
住宅を、日本以外の諸国(アジアを含む)では貯蓄・資産と見做しているのに対し、
日本では(経済的にも、慣行的にも)耐久消費財と見做しているため、
一定年数経つと、日本における住宅は無価値となってしまう。
日本以外では、ペンキを塗り替えたり、壁紙を替えたり、設備を充実させたりして、
付加価値を持たせることにより、購入時よりも売却時の高くなるという文化があるのに、
日本では、住宅は無価値になることが前提のため、中古市場も発展せず、
造っては壊し、造っては壊しを繰り返して、社会に富が蓄積されて行かない―――。
著者の主張はもっともだと思うのですが、
一方で、「それが日本の文化なのではないか?」とも思いました。
つまり、夏は湿度も高く、台風の被害を受けやすいことや、
火山が多く、地震が多発する地帯であるという風土が、
日本人に「半永久的な住宅」という観念を捨てさせたのではないかと思ったのです。
耐震技術の発展や災害対策の向上、リノベーションの浸透で、
日本人の住宅に対する感覚が変化し、中古市場が発展を促すことが、
日本が世界で生き残るためには必要なことなのかもしれませんね。
グローバルスタンダードに合わせないと、日本は生き残れないというのが、
果たして正しい進み方なのか・・・やっぱり疑問を持ったのでした。
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