『クリエイティブ都市論―創造性は居心地のよい場所を求める』を読みました [本を読む]
横浜市立図書館で借りました。
人生におけるポイントは、「何を(職業)」と「だれと(結婚)」とされてきましたが、
経済学的観点や、心理学的観点など様々な分析を展開し、
実は「どこで(場所・居住地)」こそ重要だと、著者は主張します。
大きく経済成長をするのは、もはや国家でも都市ではなく、
メガ地域と呼ばれる都市のネットワーク連合体。
都市は、居住する人々によってその特徴が決定付けられ、
あたかも人格のように都市ごとの性格を持っており、
世界経済を主導する「クリエイティブ・クラス」は、
自己実現手段のため、自信の性格や目的にマッチした都市に居住する。
刺激的な人々の集まるメガ地域はイノベーションを生み出し、
高度に効率化し、最先端の文化・経済を牽引し、さらに発展する。
一方で、メガ地域から外れた都市には成長は見られない。
どこに住むかが、その人の人生の幸福度に影響するわけですね。
やはり、どんなに交通網が迅速化し、通信技術が発達しても、
直接人に会うこと以上の刺激は無い、ということでしょうね。
本書を読んで思い出したのは、『沸騰都市 TOKYOモンスター』。
三菱地所が丸の内で進めている再開発では、
世界のトップ企業を丸の内に積極的に誘致しており、
企業側もこぞって丸の内への進出を狙っている。
それはつまり、近隣に大企業が存在することによる
企業・人同士のコミュニケーションの深化のためであり、
それがイノベーションにつながるということ、なのだろう。
ひいては丸の内という場所の価値を向上させることにつながる。
それから、メガ地域には、ゲイやボヘミアン(芸術家)が多いそうで、
その美的感覚が、都市の価値を嗅ぎ取り、居住しているとのこと。
現在、僕の住む横浜市には、日本初のモノがわりと結構あるそうで、
イノベーションを生み出すポテンシャルが、以前はあったのかもしれない。
考えてみると、それはやはり開港したことによる海外からの刺激と、
その刺激に興味を持つ好奇心旺盛な人たちが集まったからこそ、
生み出されたものなのかもしれない。
たまたま、日経MJ2009/5/13に、仙台市がクリエイティブ産業振興として、
市内特定地域に事務所を開設するデザイナーなどに対して、
税制支援を行うという小さな記事が掲載されていた。
横浜市も、『クリエイティブシティ・ヨコハマ』を標榜しており、
東京藝大を誘致したり、アーティストを界隈に居住させようとしているが、
仙台市くらいインパクトが無いと、居住にまで至るか・・・。
今後の、ボヘミアンやLGBTなどのマイノリティに対するサポートレベルは、
横浜の将来の姿の決定要因かもしれないなー、と思いました。
タイトルは前著の『クリエイティブ資本論』に引きずられてますが、
原書の『Who's your city?』だと、「どこに住んでいるの?」くらいの
感じでしょうか・・・。
コメント 0