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『老いてゆくアジア』を読みました [お金も大事]


老いてゆくアジア―繁栄の構図が変わるとき (中公新書 1914)

老いてゆくアジア―繁栄の構図が変わるとき (中公新書 1914)

  • 作者: 大泉 啓一郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2007/09
  • メディア: 新書


横浜市立図書館で借りました。
以前、サンチャイさんからご紹介のコメントを頂き、予約していたのです。

どうやら少子高齢化の波は、現在の日本だけではなく、わりと近い将来のアジア全体の問題となりそうです。

本書の主張は以下のような感じ。

・世界の人口増加率は減少しつつあり、今世紀末にはピークアウト。21世紀は人口増加から減少への過渡期。

・高齢化は先進国特有の問題ではなく、アジアで顕著。アジアの出生率低下は急速で、高齢社会に向かっている。

・生産年齢人口の割合の高さが経済発展を後押しする作用を「人口ボーナス」と呼ぶ。

・社会・経済・政治制度の諸政策が人口構成の変化に適していた国のみ、人口ボーナスが上手く機能した。

・実は、日本の人口ボーナスは1990~95年に終了している。

・韓国、台湾、香港、シンガポール、中国、タイの人口ボーナスは2010~15年に終了の見込み。

・インドは2035~45年頃まで人口ボーナス効果を享受できる。

・人口ボーナス終了に近い中国、ASEAN4の高い経済成長は、国内の若年層の労働移動による「都市部の人口ボーナス」が原因で都市と地方の格差が拡大している。中高年層の生産性向上が鍵。

・都市部のみの成長が牽引する経済は限界。低所得水準のまま高齢社会を迎えるアジア諸国は深刻な状況。

・先進国のように負担配分の議論以前に、アジア諸国ではそもそも財源・人材・制度整備など、社会保障制度構築には困難が多い。『アジアの高齢者を誰が養うのか』。

・国家ではなく地域が福祉・相互扶助を担う『福祉社会(コミュニティ)』の確立が必要。

・日本の地域福祉の経験を活かすべき。政府やNGO、NPOの相互協力と連携強化を目的とする「アジア福祉ネットワーク」形成も一案。

人口ボーナス効果の薄れる2015年頃というのは、世界の経済や社会の大きな潮目かもしれません。
新興国の今後の経済成長が確実とは言えない大きなファクターを見た気がしました。

データ量が多く、読みごたえのある一冊でした。
サンチャイさん、ご紹介頂きありがとうございました!




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