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『イカの哲学』を読みました [本を読む]


イカの哲学 (集英社新書 0430)

イカの哲学 (集英社新書 0430)

  • 作者: 中沢 新一
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2008/02/15
  • メディア: 新書


横浜市立図書館で借りました。

イカの哲学・・・?
タイトルでは解りにくいですが、これは在野の哲学者波多野一郎が遺した著書『イカの哲学』を通じて、中沢新一が人類学、平和学、戦争論、エコロジーを説くというもの。

実存を無視し、世界をモノとしてしか見なくなった人類が、
人類を中心に据えて構築する世界では、平和は構築できない―――。

生命体がそもそも持っている「連続性/非連続性」の原理と、
「平和→戦争/平和→超戦争/超平和」の論理は、とても興味深いものでした。

読後に思い出したのは、『「里」という思想』や、
『熊を殺すと雨が降る―失われゆく山の民俗』の世界です。
なぜ、人は狩猟の後、儀礼を執り行うのか、『イカの哲学』で納得できました。

資源、そして人類自身(労働力)までカネで換算する現代には限界がある。
世界は決して、数字や公式だけでは読み解けないし、
カネであらゆる問題も解決しないものなのだと、改めて思いました。

その解決のヒントは、実存とコミュニケーションする『イカの哲学』ということ。
なぜイカ?については、実際に読まれることをお勧めします。

中沢新一といえば、大学の授業で彼の比較宗教論や民族芸術論の授業をとり、
その論理の飛躍をとても面白く、そして時には理解できずに聞いていたものでした。
本書にも登場する、バタイユの話や、神話の話も、今なら理解できます。

ちなみに、波多野一郎はグンゼの創始者の子息。
しかし、グンゼもあり大本教もある京都の綾部は、すごい所だと思う。




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コメント 2

Takashi

中沢新一、懐かしい名前だねー。
結局自分は彼の講義は一回も受けなかったけど・・・。

今読むといろいろ思うことのありそうな1冊ですな。

by Takashi (2009-04-18 20:34) 

tyo

>Takashi さん

こういう本を読むと、人類は世界のあらゆることを解明して、
進歩してきたけど、退化している側面もあるのだと思えてなりません。

政治も経済も人間の活動。
世界が抱える諸問題は、決して数字や公式だけでは
解決しきれないのではないか、と思うようになりました。

是非、図書館で借りてみてください。

by tyo (2009-04-19 11:13) 

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