『投資銀行が邦銀に屈した日―キャピタルゲイン時代の次に来るもの』を読みました [お金も大事]
投資銀行が邦銀に屈した日―キャピタルゲイン時代の次に来るもの
- 作者: 北村 慶
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2009/02/13
- メディア: 単行本
横浜市立図書館で借りました。
アメリカ発の金融危機を生み出した要因の一つである投資銀行ビジネスの手法、日本の銀行による出資の経緯、そして、投資銀行ビジネスと個人投資家の将来と、現役の金融マンである著者ならではのソース(リーマン・ブラザーズ社員からの混乱を伝えるメールなど)や、リアリティ溢れる解説と分析が多く掲載されています。
「新・投資銀行ビジネス」は、レバレッジを最大限に利用し、短期的に利益を得るものが主役であり偉い、という世界。しかし、そのビジネスモデルが自壊してしまい、本来の長期的かつあくまでも金融は裏方であるという姿勢を持つ「伝統的投資銀行ビジネス」への回帰に、日本の銀行がどこまで独自の展開を繰り広げられるか、そこが課題ということです。
個人投資家については、「自然に儲かること」、つまりインカムゲインに着目した長期投資に特に言及していました。
『教えて、金融のこと 北村センセイに聞く30の質問』や、『グリーンスパンの正体――2つのバブルを生み出した男』など、著者の旧著や監訳書からの引用が上手く組み込まれているとともに、大手投資銀行が「バルジ・ブラケット」と呼ばれていることや、「ミセス・ワタナベ」など、今までになかった情報も掲載されており、著者のエッセンスの最新版いう印象を持った1冊でした。
コメント 0