『心を商品化する社会―「心のケア」の危うさを問う』を読みました [本を読む]
上尾市図書館で借りました。
ストレスが原因で、疲れ果て、職場を休みがちに。そんな時、上司から一言。
「カウンセリングを受けて来なさい」
なぜ、上司は相談に乗ると言ってくれないのだろう?
もし、そういう体験がある人は、本書を読むと良いかもしれません。
著者は、全ての原因が自身にあるという前提で自己解決を迫る社会と、根本的な原因を探らずに心の専門家に委ねる風潮に疑問を呈している。上記の例で言えば、なぜそういうストレスを抱え込むようになってしまったのか、その現場にこそ解決の糸口があるはずなのに、「全く知らない他人」に相談させ解決を委ねることは、その上司が部下に対する放棄の姿勢を示していることに他ならない。
社会はますます、自己解決を迫り、心の専門家に依存し始めて、「心」がモノとして商品化されている。「原因は君の心にある。君の心の問題なのだから、君自身で解決するしかないんだよ」というような言葉には、以前から違和感を持っていました。全ての原因が心であるわけなど無いのに!個人の責任にしてしまうことで、諸問題の要因が実はその社会にあることを包み隠してしまっている、という著者の指摘は、僕の持っていた違和感を解決してくれました。
『心のノート』や、臨床心理士の資格の不自然さ、心理学と政治の関係性など、知らなかった問題も多く掲載されており、とても勉強になりました。
信頼でき、相談や愚痴をこぼせる友人や家族とのつながりこそ、大切なのだと再認識。
多様な人たちと触れ合う機会こそ、そういった人間関係を構築する基礎なのだと再確認。
そして、友人から相談されたら、しっかりと真剣に向き合うべし!
是非、前著も読んでみようと思います。
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