SSブログ

『熊を殺すと雨が降る―失われゆく山の民俗』を読みました [本を読む]


熊を殺すと雨が降る―失われゆく山の民俗 (ちくま文庫)

熊を殺すと雨が降る―失われゆく山の民俗 (ちくま文庫)

  • 作者: 遠藤 ケイ
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2006/11
  • メディア: 文庫


横浜市立図書館で借りました。
この本も、『「里」という思想』とともに、とある方が推奨していたのです。

『熊を殺すと雨が降る』というのは、マタギの間の言い伝え。山の神が山を血で穢したことを怒り、雨を降らせて山を清くする。じつは、マタギは、熊は雨の前に食いだめをしている時に撃たれることが多いということを知っている。長い経験の蓄積なのです。

本書には、山で生きる人たちの暮らし、
というよりも「生き残り方」が、イラスト入りで活き活きと描かれていました。

生き残り方―――まさに、山で生き残るには知恵が必要なのです。しかし、そんな知識は、都市で暮らす人たちには必要の無いものであり、日本人は、そんな知識をすっかり捨ててしまい、忘れてしまったようです。

チェーンソーが導入された林業(もちろん、海外木材との価格競争で効率化のために導入せざるをえなかったという背景がある)では、斧を使って木を倒す技術は受け継がれなくなってきているそうです。そう、もはや人は斧を使って、安全かつ確実に加工可能な状態で木を倒すことすらできなくなったのです。

本書で描かれている林業・狩猟・漁業・食事の技術には、「生きる力」が溢れていて、僕はすっかり魅了されてしまったのでした。それは、脈々と受け継がれてきた人々の歴史の知恵がそこにあり、自然と対峙した持続可能な暮らしを実践しているからなのだと思います。

人間は、自然と折り合いをつけることで、自然の恵を享受できていた。しかし、人間は、自然と折り合いをつけることを放棄し、自然を省みない発展を選択した。自然が人間に生活を保障することを止めるのは当然だと思いました。人間が自然からの大きなしっぺ返しを食らうのも、そう遠い将来ではない、そう感じました。

本書があれば、貧弱な僕でも数日は山で生き延びられるかもしれません。(笑)
ガイドブックとしても、役に立つ内容だと思います。




nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。